敏感肌とは？

敏感肌とは、どんな状態なのでしょう。ここでは、敏感肌の定義を解説し、肌の状態を大きく4つにわけて解説します。

敏感肌はどんな状態？

敏感肌について、皮膚科学的な根拠や定義はありません。一方、美容の観点から見ると、ヒリヒリする、赤みが出るなど、肌の不快感や異常が出やすい状態を敏感肌といいます。敏感肌の方は、皮脂が少なく乾燥しやすい方が多いようです。

主な肌の状態4つ

お肌の状態は、「健常肌」「不安定肌」「敏感肌」「疾患肌」にわけることができます。「健常肌」とは、ハリ・つや・弾力があり、健康的な状態です。肌の水分と油分のバランスがよく、目立った肌トラブルもありません。肌本来の美しさを保つ、理想のお肌です。

「不安定肌」は、「一時的敏感肌」とも呼ばれ、さまざまな刺激に対して一時的にトラブルを起こしやすい状態です。頻繁にバリア機能が低下するため、乾燥やかゆみ、赤みなどのトラブルを起こしやすいです。季節の変わり目やストレス、睡眠不足、間違ったスキンケアなどによって、肌の状態が突然不安定になることもあります。

「敏感肌」は紫外線、化粧品などの外用剤、ほこりなどで皮膚トラブルを起こしやすい状態です。肌のバリア機能が低下しているため、通常であれば刺激とならない成分に対し、肌が敏感に反応します。乾燥、赤み、ヒリヒリ感、かゆみ、肌のつっぱり感、化粧ノリの悪さ、ニキビや吹き出物など、人によって現れる症状はさまざまです。

「疾患肌」は、アトピー性皮膚炎や光線過敏症など、皮膚疾患がある状態です。個人のケアだけでは対処が難しいため、皮膚科を受診し、適切な医療処置を受ける必要があります。

敏感肌チェックリスト

上記のように4つに分類できると知っても、自身の肌がどの段階にあるかを判断するのは難しいかもしれません。目安としては、以下のような症状があれば、敏感肌の可能性が高いでしょう。

ヒリヒリとしみる
赤くなりやすい
カサカサしている
ニキビができやすい
かゆみを感じやすい
物理的刺激に弱い

敏感肌は、放っておくと悪化したり、かゆみが増したりする可能性があります。かゆみやヒリつく箇所をかくと、そこから細菌感染に至るケースもあるため、早めのケアが大切です。

敏感肌の主な原因

敏感肌になる主な原因は、肌の表皮にある角質層(約0.02mmの層)が持っている「バリア機能」の低下です。バリア機能が低下する原因には、乾燥や紫外線、間違ったスキンケアなどによる「外部的要因」と、体調や食事の影響などによる「内部的要因」があります。ここでは、それぞれの要因を解説していきましょう。

外部的要因

外部的要因とその影響には、以下のようなものがあります。

乾燥

敏感肌の原因としてもっとも多いのが乾燥です。乾燥＝冬とイメージしがちですが、エアコンや扇風機の風でも乾燥するため、乾燥によって敏感肌になる危険は、オールシーズン潜んでいます。また、お風呂上りや洗顔後に適切な保湿ケアをしないことも原因のひとつです。

紫外線

紫外線は、肌のうるおいをキープするために必要な、コラーゲンやエラスチンといった繊維を壊します。コラーゲンやエラスチンは、肌の表面にある角質層にあり、ここがうるおいをキープできなくなると、肌は正常なバリア機能を維持できません。

化粧品

化粧品を間違った方法で使っていたり、量や頻度が多すぎたりすると、肌に悪影響を与えます。また、クレンジングや洗顔の際に強くこすったり、洗浄力の強いものを使ったりすることも、敏感肌を引き起こす原因です。

温度や湿度の変化

季節の変わり目に肌の状態が悪くなった経験はありませんか。温度や湿度の変化は、自律神経を乱し、肌のターンオーバー(新陳代謝)の乱れにつながります。

汗

暑い季節は汗をたくさんかくため、毛穴に皮脂が詰まりやすくなり、溜まった皮脂が原因で炎症を起こすことがあります。また、汗に含まれる塩分やアンモニアは肌にとって刺激となる物質です。汗の水分が蒸発すると、濃度の高い状態で肌に残るため、敏感肌の原因になることがあります。

ほこりやダニ

ほこりやダニによって、アレルギー反応を引き起こすことがあります。特に、ダニの死骸やフンに含まれるたんぱく質は、肌に侵入してかゆみや湿疹を引き起こすため注意が必要です。

内部的要因

敏感肌の内部的要因には、以下のようなものがあります。

加齢

加齢に伴い、肌の水分をキープしにくくなります。水分がキープしにくくなると、肌のバリア機能が低下します。すると、敏感肌になりやすくなるため、年齢に合わせたケアが必要です。

生理

生理は、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量の変化により起こります。これらのホルモンは、肌の水分保持力や皮脂の分泌量も変化させるため、肌バリア機能にも関係してきます。特に、生理前の黄体期は、肌の状態が下り坂になりやすい時期です。

本来の肌質

もともと皮脂の分泌量が多かったり、水分が少なくカサカサ気味だったりと、もともとの肌質によっても、敏感肌になりやすいかが左右されます。本来の肌質に合わせたケアが必要です。

睡眠不足やストレス

睡眠不足になると、肌のターンオーバー(新陳代謝)に必要な成長ホルモンが十分に分泌されません。また、ストレスやイライラを溜めた状態が続くと、自律神経やホルモンバランスが乱れ、ターンオーバーの乱れを引き起こします。

栄養バランスの偏り

肌の材料ともなる栄養素の摂取バランスが偏り、本来肌に必要な栄養素が不足すると、肌の状態が悪化します。特に、食事制限をする無理なダイエットや、アルコールの過剰摂取は、敏感肌につながりやすいため注意が必要です。

腸内環境

肌の状態と腸内環境は密接に関わっています。善玉菌が減り、悪玉菌が増え、腸内環境が悪化すると、腸管(口から肛門までつながっている消化管全体)のバリア機能が正常に機能しません。これにより、有害物質が体内へ侵入しやすくなり、炎症や免疫異常を引き起こし、その影響は肌にもおよぶと考えられています。

敏感肌の影響

ここからは、敏感肌になると、日常生活にどのような悪影響や悩みが出るかを解説します。

日常生活への影響

敏感肌になると、毎日のメイクやスキンケアのたびにヒリヒリ・赤み・かゆみが出るため、美容習慣が苦痛になります。紫外線や花粉、乾燥した空気といった、外的要因も刺激になるため、外出時の不安も大きくなるでしょう。

精神的・心理的影響

肌あれが目立つため、人からの視線が気になり、対人関係や仕事上のストレスにつながりかねません。加えて、一度肌の状態がよくなっても、「また肌が荒れるかも」という不安がストレスを増加させ、そのストレスが、肌の状態を悪化させるという悪循環にも陥りやすくなります。

誤ったスキンケアによる悪化リスク

肌の状態を改善したいあまり、肌の洗いすぎや保湿のしすぎに走るケースがあります。しかし、誤ったスキンケアは敏感肌を悪化させるため逆効果です。また、「少しでも改善すれば」と思い、頻繁に化粧品を変えると、余計に肌が安定しません。化粧品を変えるごとに「敏感スパイラル」に陥る可能性もあります。

敏感肌の予防と対策

敏感肌の予防や改善には、肌の状態を「悪化させないこと」と「内側から元気にすること」が欠かせません。ここでは、敏感肌の方が特に注意しておきたいポイントをご紹介します。

紫外線対策

敏感肌は、肌のバリア機能が低下している状態です。そのため、普通の人以上に紫外線の影響を受けやすくなっています。特に、紫外線は肌の角質層にダメージを与えるため、敏感肌を悪化させる大きな原因です。敏感肌の傾向が見られたら、いつも以上に紫外線予防を徹底しましょう。

基本となるのは、日焼け止めや日傘、帽子を使った紫外線対策です。特に、涼しい季節や曇りの日は、紫外線対策がおろそかになりがちです。紫外線は秋でも冬でも、曇りの日でも降り注いでいます。紫外線対策は、どの季節・どの天候でも欠かせません。

加えて、外出中は2~3時間を目安に日焼け止めを塗り直すようにしてみてください。日焼け止めを塗る際も、摩擦が肌の刺激にならないよう、やさしく軽く、ムラなく塗り広げていきましょう。

すこやかな肌を育む栄養素の摂取

敏感肌を予防し、すこやかな状態を保つためには、体の中からサポートすることも欠かせません。以下の栄養素は、肌のコンディションを整えるのに役立ちます。意識してメニューに取り入れてみてください。

たんぱく質

たんぱく質は、お肌の材料になります。コラーゲンやエラスチンといった、皮膚の構造を保つ組織も、たんぱく質によって形成されています。たんぱく質には、動物性・植物性があるため、どちらもバランスよく摂取してみてください。

鉄分

鉄分はヘモグロビンの材料なので、肌のターンオーバー(新陳代謝)に欠かせません。鉄分にも、動物性と植物性があります。体内への吸収効率が高い「ヘム鉄」(動物性)と、「非ヘム鉄」(植物性)をバランスよく摂取するのがおすすめです。

ビタミン

美肌にはビタミンが欠かせないとご存じの方も多いでしょう。敏感肌の方が特に摂取を意識したいビタミンは、肌の調子を整えるビタミンA・C・Eや、代謝を助けるビタミンB群、肌のバリア機能の強化に関わるビタミンDなどです。

肌のストレスを減らす

肌の内側からも、敏感肌を悪化させないよう対策を講じましょう。特に、睡眠不足、お酒、喫煙、乾燥は、肌の大敵です。また、睡眠不足は成長ホルモンの分泌を阻害し、お酒の飲みすぎは肝臓を疲れさせます。肌が敏感になっていると感じたら、睡眠習慣とお酒の習慣を見直してみてください。

また喫煙は、肌に大切なビタミンCを破壊するといわれており、敏感肌以外にも、シミ・シワ・くすみといった、あらゆる肌の悩みを引き起こします。喫煙中の方は、少しずつでもよいので、タバコの本数を減らし、禁煙を目標にしてみてください。

加えて、枕やタオルなど、身の回りを清潔にしておくことも大切です。特に、パフやブラシなどのメイク用品は、不潔な状態を見落としがちなので、こまめな交換や洗浄を心がけましょう。

敏感肌におすすめの化粧品とスキンケア

ここからは、敏感肌の方はもちろん、敏感肌を予防したい方におすすめの化粧品やスキンケアをご紹介します。

肌にやさしいクレンジング剤を選ぶ

メイクを落とすクレンジングは、特に肌の刺激になりやすいため、肌にやさしいタイプがおすすめです。おすすめは、クリーム・ミルク・ジェルタイプです。

クリームタイプ

油分を多く含み、適度な洗浄力がありつつ、肌をしっとり保てるのが特徴です。

ミルクタイプ

クリームタイプより水分量が多いため、洗浄力は少し劣りますが、肌への負担はやさしくなります。

ジェルタイプ

ジェル独特の弾力性があり、肌への摩擦を軽減します。洗浄力が低めなので、人肌に温めて丁寧になじませましょう。

クレンジング剤をすすぐお湯は、熱すぎると皮脂を落としすぎて、敏感肌を悪化させる可能性があります。水かぬるま湯を使い、やさしく、浮かせて落としましょう。

やさしい洗顔と保湿

洗顔料は、低刺激で保湿成分を含んでいるものを選びましょう。肌が敏感になっているときは、洗顔料のパッケージに「パッチテスト済み」の記載があるかをチェックしてみてください。

また、洗顔前には手をよく洗い、ぬるま湯を使って、洗顔料をしっかり泡立てましょう。手や指が肌に直接触れないよう、泡で包み込むように洗うのがおすすめです。Tゾーンや小鼻は洗い残しが出やすいためより丁寧に。泡で洗った後は、洗顔料が残らないよう、水かぬるま湯でしっかりすすいでください。

洗顔後は、水分をしっかりふき取ってから、丁寧に保湿します。化粧水後は、クリームや乳液を使って、補給した水分や保湿成分をしっかり閉じ込めましょう。

まとめ

敏感肌は、ヒリヒリする、赤みが出るなど、肌の不快感や異常が出やすくなっている状態です。敏感肌になる原因は、紫外線や乾燥などの外部的要因だけでなく、食事や睡眠不足、生理や加齢といった内部的要因によっても引き起こされます。

敏感肌を予防し、すこやかに保つためには、紫外線対策をしっかり行うことや、すこやかな肌を育む食事・生活習慣が大切です。また、肌にやさしいクレンジング剤や洗顔料の使用や、丁寧な保湿を習慣にして、肌を労わりながら敏感肌対策を行っていきましょう。

敏感肌に関してよくある質問(Q＆A)

Q.敏感肌とはどんな肌ですか？
A.外部の刺激に過敏になっており、赤みやヒリヒリ感など、肌トラブルを起こしやすい状態です。

Q.敏感肌の原因と対策は？
A.紫外線や摩擦といった外部的要因と、ストレスや睡眠不足といった内部的な要因で肌のバリア機能が低下します。紫外線対策や乾燥対策に加え、食事や睡眠を含めた複合的な対策で敏感肌の予防と対策を行いましょう。

Q.敏感肌におすすめの化粧品は？
A.敏感肌用のクレンジングや洗顔料、肌のバリア機能を補う保湿成分が含まれた化粧水などがおすすめです。アルコールフリーや添加物・香料不使用の化粧品がよいでしょう。

Q.敏感肌でもピーリングしていいの？
A.敏感肌でもピーリングは可能ですが、刺激の少ない成分が含まれたものが最適です。「敏感肌用」や「低刺激設計」のものを選んでみてください。

Q.敏感肌と乾燥肌の違いは？
A.乾燥肌は、肌の水分が不足してバリア機能が低下しはじめている状態です。その状態がさらに進み、紫外線や化粧品など、わずかな刺激にも過敏に反応するようになった状態を敏感肌と呼びます。乾燥肌は敏感肌のサインともいえます。

Q.生理前に肌が敏感になるのはなぜ？
A. 生理前のホルモンバランスの変化が主な原因です。生理前は、皮脂の分泌を促すホルモン（プロゲステロン）が増加し、肌の水分と油分のバランスが崩れがちになります。これにより肌のバリア機能が低下し、敏感肌の症状が出やすくなるのです。また、PMS（月経前症候群）によるストレスも、肌の状態に影響を与える要因の一つです。

Q.敏感肌でも使えるUVケアはある？
A.肌が敏感になっているときは、「紫外線吸収剤」不使用で、「低刺激性」と表記されている低刺激設計の日焼け止めを選ぶようにしましょう。

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