「その時期に名義をSIRUPに変えたのですが、プロデューサーが好きなことをやっていいよと言ってくれて。自分がやりたいことをやっていて気が付いたら、今……みたいな感じ。名義を変えたタイミングで、自分の中で徐々に思い切ったことができるようになったんです」
曲作りは基本的にずっと、生活していて起きることなどの日常をベースに、メモリーやダイアリーに近いものだという。「曲を作ることで、ひとつのことにフォーカスできて考えが整理できる」と分析するSIRUPさんですが、最近は他のアーティストとの共作をすることも多くなりました。そこでモットーにしているのが“人に任せる、委ねる、共作を楽しむ”ことなのだそう。
「その考えに至る前は、全部自分で完結しなければならないと考えていました。特に日本の音楽シーンは、“シンガーソングライター信仰”みたいなものがあって、全部自分でやることが素晴らしいし、それがすごいことみたいな風潮があったんです」
日本の音楽業界にある風習に違和感を持ったSIRUPさん。
「自分のルーツであるヒップホップやR&Bにはしっかりフォーカスしながら、ある程度プロデューサーに委ねて料理してもらう方がうまくいくことがわかりました。もちろんある程度自分の考えや自分の曲としてどこに落とし込むかはコントロールしますが、知らなかったけどそっちの方がかっこいいね……という体験の気持ちよさもあるんです。一緒に創ることで自分が想像できなかったところまで到達する感動を知れるようになって、人に任せる、委ねる、楽しむスタンスになりました。最近のコラボは海外の方が多く、価値観が違うので面白いし、刺激になっています」