センスを集めながら
作っていく仕事
アートディレクターという仕事は、何かを世の中に広めるために、その魅力を最大限に引き出す絵づくりをする人。たとえば、ミュージシャンのCDジャケットの場合は、その曲の雰囲気や伝えたいことを汲み取り、ジャケットの枠内で表現をする。そのためにはどんな表現をするかという発想力に加えて、カメラマン、スタイリストなどクリエイターを動かす力も求められます。
さまざまな能力が必要な職業ですが、中でもとんだ林蘭さんは数々の作品に携わり、さらにはアーティストとしても作品作りをされています。第一線で活躍している彼女がどのようなことを考えて仕事に向き合っているのでしょう。
「仕事でいただくお題は自分でコントロールできません。まずはテーマをいただき、打ち合わせでしっかりと深掘りをし、その文脈から発想していきます。いくつかの案件を並行しているので、今日と明日で全く違うイメージのラフコンテを書く必要があることも。完成まで半年かかることがあれば、自分1人で1日で仕上げることもあります。アートディレクターとしてはお題に応えたビジュアルとして成立することが何よりも大切。作風への固執はありませんし、イメージごとに依頼するクリエイターさんは変わってきます。チームで制作する時にはコミュニケーションを大切にしていて、現場に挑む前に全員のイメージを同期させる擦り合わせが重要です」
ご自身らしさが色濃い作品もあれば、裏方に徹することもあるそうですが、仕事の醍醐味をこう語ります。
「全く飽きのこない、この仕事が好きです。やりがいを感じるのは撮影現場。目の前でビジュアルになっていく瞬間にエネルギーを感じますし、できあがりの達成感も大きい。その時々の目的にあわせて、クリエイターの皆さんのセンスを集めながら作っていくのが仕事の醍醐味ですね」